ドラマ『競争の番人』(2022年7月スタート/フジテレビ 月9)の原作小説『競争の番人』新川帆立(講談社)のあらすじ解説、今回はその第一章「弱くても戦え」です。
『競争の番人』原作小説 第一章 弱くても戦え~聴取した参考人が自殺!
場所は斎場の化粧室。「どうしてお父さんは死んだの?」。県立高校2年生の豊島美月から、白熊楓が声をかけられる。道路工事を受注したゼネコンの談合疑惑、発注者側である市役所職員が豊島浩平、それを調査していたのが、楓が所属する公平取引委員会。談合という悪しき商習慣を止めるべく、浩平も納得したのだが、その直後の自殺だった。。
『競争の番人』原作小説 第一章 弱くても戦え~正反対の二人、楓と小勝負

人が死んでしまうという事態を受け、楓の上司が遠山から桃園に替わることになる。その審査第六審査長にはもう一人、アメリカから帰国してきた小勝負勉も配属になる。小勝負は、
- 16歳で公認会計士試験合格
- 20歳で司法試験合格
- 東大法学部を首席で卒業
- TOEIC、TOEFLは満点
- 国家公務員試験も一位
- 留学先のハーバード・ロースクールでも主席
- これまでは政策決定の部署にいて、審査の現場経験がない
という超エリート、細身で長身、引き締まった身体つきだが、愛想ゼロで感じ悪い。。
一方の楓は、父の敏郎と同じ警察官を目指していたが、警察学校在学中に、敏郎がけがをして退職することに。母の三奈江から警察官になることを大反対され、警察官への道をあきらめ、公正取引委員会へ入局することになる。また、楓は空手家でもあり(大会ではいつも二位止まりだけど)、小勝負とは正反対の肉体派であり、感情派、公取委の審査経験も踏んできた。そんな水と油な二人が、ある事件の調査で栃木県の観光地まで出張することになった。

『競争の番人』原作小説 第一章 弱くても戦え~内定調査に失敗!しかし、事件と二人の関係、この先どうなる!?
栃木県S市にあるホテル3社のカルテル疑惑が今回の案件。この3社が話し合って、ウェディング費用の値上げ幅を決めている模様。このため、S市の平均ウェディング費用は、他地域より13%も高くなっていたのだ。

二人が調査にやってくると、3社のうちの1社「Sクラシカルホテル」のオーナー社長・安藤正雄が、ホテルエントランスを出たところで、何者かに刺されてしまう。小勝負と楓は、予定通りSクラシカルホテルにも調査に訪れると、3社のうち1社「ホテル天沢S」を運営している天沢グループ専務・天沢雲海を見かける。これは、カルテルの疑いが濃厚。。小勝負と楓は、雲海を車で尾行するが、今度は雲海が何者かに刺され・・・そうになるところを、楓が警察学校で習った絞め技で仕留めてしまう。雲海を救うために飛び出たことで、公取委による内定調査がバレてしまい、調査はいったん打ち切り、二人は東京に戻されてしまう。
しかしこの調査中、内定調査とバレないようカップルに見られるようにするために、小勝負に手を握られて、ちょっと胸が高鳴る楓。逃してしまった雲海を、別の機会にきっと捕まえようという楓に、「珍しく僕も同意見です」という小勝負。二人の心の行方も気になります。楓には、れっきとした恋人・徹也がいるし。。
『競争の番人』ドラマの第1話は?
ドラマの第1話も、この第1章のウェディング費用カルテル問題となっています。しかし、登場人物の設定は原作とは少し違っています。
- 楓が公取委にやって来たのは、刑事時代に犯人を取り逃がしたために異動になった。
- 楓が移動してきた時に、小勝負はすでに公取委にいて、楓の教育係となった。が、教育する気などさらさらない(^_^;)
『競争の番人』原作小説のあらすじ解説~第一章 弱くても戦え~まとめ
初めは相容れない小勝負と楓。しかし内定調査を通じて、心境にも少し変化が。栃木県のカルテル疑惑の真相究明と、二人の心の真相究明も楽しみになる第一章でした。
「弱くても戦え」とは・・・公正取引委員会は、財務省や経済産業省のような利権もない、人材もいない、予算もない、弱小官庁。でも、企業の公正な商業活動を見張る“競争の番人”。内定調査での雲海救出騒動の際に、レンタカーの路駐違反をとられたことに、「分かってるよ…弱小官庁だもん」と嘆く楓。警察や検察の車だったら、捜査の一環として見逃してもらえたのに。。でも「弱くても、戦わなくちゃいけない」と返す小勝負。

この小説は、ドラマの場面が目に浮かんでくる描写で、また、坂口さんと杏さんが小勝負と楓にピッタリなイメージです。今回のドラマ化にあたり、著者の新川帆立さん曰く、「原作とドラマでどちらが面白い作品を作れるか競争ですね」。7月のドラマスタートに向けて、原作でしっかり予習しておきたいと思います。最後に、本の帯にある帆立さんのメッセージをご紹介します。次章は下のバナーからご覧ください。本日も最後までお読みくださり、どうも有難うございました。
デビュー2年目の勝負作です。わくわくドキドキ、ちょっぴり身につまされ、不思議と力が湧いてくる、理屈抜きで面白い王道エンターテイメントを目指して書きました。エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!
著者・新川帆立さんメッセージ(原作本の帯より)





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